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大林 利男(おおばやし としお)


大林利男さんは長浜市の木之本で、建築の会社アルファ工房を34年前に創業。

最初は個人として仕事を請け負って始めた工房も、平成元年に法人化し、気がつけば社員数は12名になりました。

理念の『一期一会』は、以前働いていた会社の社長の口癖だった「漁師一筋、竿一本」という言葉が、元になっているそうです。家を作るという仕事は、その性質上”今目の前にいるお客様”が“一生で一回しか出会わない”可能性が高い。家作り一筋だった自分のできることを、目の前のお客様の為に、常に誠意を持って仕事をしたい。そんな想いが込められています。

写真にある、飾られた大きな『一期一会』の書は、書道の先生から譲ってもらったものだそうです。一目惚れした書を「これ会社の理念なんです」と話したら、「あなただったら大切にしてくれそうだから」と言って譲ってくれたと言います。このお話は、大林さんのその”誠実さ”を示すエピソードとして、とても心に残ります。

大林さんの誠実さは、あまりにも様々なお客様からのオーダーに反映されています。

芸術家の方の要望でギャラリーを作ることもあれば、洋風の三階建ての家を建てることもあります。又ある時は「囲炉裏を囲みたい」という要望に、その雰囲気を守るために、”丸太の皮を削る”という地道な作業をすることもあるそうな。

誰かの人生で一度の選択に立ち会う仕事に向かっているからこそ、その過程には気が抜けません。


現在は代表の座を息子さんに譲り、今では会長としてのお仕事をされている大林さんですが、創業のきっかけは「負けず嫌い」だったといいます。

大学卒業後、ものづくりが好きだった大林さんは建築会社に就職しました。しかし最初に働いた建築会社は体調を崩し、医者から「現場作業をやめたほうがいい」と言われ退職し、設計事務所へと転職しました。

しかし設計事務所で働きながらも違和感を感じていた大林さん。やっぱり身体を動かす、ものづくりの最前線にいたい。

そう考えていたところに、知り合いが経営していた住宅建築をメインとした会社から「ぜひその技術を生かしてほしい」と誘われ転職しました。そのときの経験が今の会社を創業するための基礎を作ったといいます。

新しく就職した会社での9年間、『他の人よりもたくさんの実績を上げたい。負けたくない』という気持ちを原動力に、がむしゃらに働いたと言います。

負けず嫌いな気持ちで働いていた大林さんですが、あるとき虚しい気持ちに襲われます。それは、どれだけ競い合っても”見返りは給料だけ”という事実。自分が何かを残したという実績にはつながらないのです。

元来大学生のときからトップに立ちたいという意識の強かった大林さんは「他の人がやらないことをやりたい。ほかの人と同じことをやっていっても意味がない」と考え、創業を決意しました。

新築ばかりではなく、古民家リフォームにも精力的に取り組んでいる大林さん。アルファ工房では、新しいものばかりではなく、古いこともとても大切にしています。

最近の住宅の流行りでは「システムキッチンを入れてほしい」「風通しのいい家がいい」という要望が多く、それらはもちろん叶えることは可能です。しかし、せっかく木之本という場所に家を作るのであれば、都会にはできない表現をしたいという人も多い。その気持ちに共感する大林さんは、外見の良さをできるだけ活かしつつ、内面は使いやすいものを、お客様と一緒に探していく作業をしています。

仕事のスタンスで大切にしているのは「一番の設計者はこれからその場所に住む人」という考え方。設計者が作りたい家を作ってしまうと、殆どの場合それが住む人にとって一番住みやすい家にはならない。「だから、僕らの仕事はお客様の要望を叶えることなんです」と語る大林さんの顔は誇らしげです。

そんなお客様目線は、年に4回発行している社報新聞からも感じ取れる。住宅情報や費用についてなどの技術の話ばかりでなく、間違い探しや料理のレシピなども載せています。それはなぜか聞いてみると「窮屈なものにしたくない」と、大林さんは答えました。社員みんなで相談して決めている社報の内容からは、会社のお客様に対する気遣いが垣間見えます。

もう一つ、アルファ工房の大切にしていることがあります。それは、現代の生活パターンの中にも”日本の伝統”を感じられるようなものを入れること。

古い家のように見えて、中に入ってみると驚くような家。外観からは想像がつかない中身を作る。この地域だからこそ需要がある住宅建築の“新しいカタチ”を追求しています。効率だけを求めない、新しい世代に受け入れられるための見せ方をする。時代に迎合するのではなく、こだわりを崩さずに新しいものを取り入れる姿勢は、なかなか簡単ではありません。こういう古いものを大切にする新しい感覚が、コホクの建築を支えています。

大林さんは古民家改修だけではなく、移住促進活動グループにも積極的に参加しています。今現状ある古民家の所有者と移住希望者をつなげる活動の結果、ここ2〜3年で8名程度の人が木之本に引っ越してきたといいます。


地元のためにいろんな仕事をしている大林さん。仕事のやりがいを聞いてみると「家が完成したときのお客様の喜ぶ顔」と答えます。当たり前かもしれないけれど、家というのは取引の金額が大きいからこそお客様の緊張感も伝わってくる。そんなお客様に気持ちよくお金を出してもらえるような、そういう仕事ができた時にやりがいを感じると教えて下さいました。

またその一方で、建設業界は慢性的な人手不足に悩んでいると言います。昔の価値観で考えると、仕事=お金だったし、求人情報を見た時に真っ先に見るのは給料だった。しかし最近では”定時で仕事が終わること”や”休みがちゃんととれるかどうか“を見て来る人が多いと語ります。しかし、創業時とは違った時代の流れを感じつつも「熟練者、職人がいればもっと会社は伸びるはずだ」と、人材の育成にも積極的です。

人手不足の原因は”条件の悪さ”だと分析し、アルファ工房では福利厚生をしっかりと準備し、給料も安くありません。もし新入社員が来てくれるなら、三年〜五年ぐらいの期間、社員の成長に向き合う覚悟はできていると言います。

この仕事に向いている人の条件は「ものづくりが好きな人」「体力に自身のある人」

こういう人は早く仕事を覚えるということを、自分自身の経験からよく知る大林さん。大切なのは経験よりも、興味と熱意だと言い切ります。

湖北地域ならではの働きやすさについて聞いてみると「会社規模が小さいからこその家族感」と答えてくださいました。これは創業時に奥さんと話していたことで、今でもその想いは変わっていないそうです。

都会なら、給料がいいことや、駅から近いことが優先になって、社内の交友関係は希薄になりがち。それに対して、湖北地域の地方で働いているからこそ、風通しがよく、仕事が終わった後で趣味の話もするような関係性が作れる会社作りをしたいと言っていました。

最後に今後の大林さんの大切にしていることを聞いてみました。

それは「正義感」「堅実」「お客様第一」の3つだそうです。これは普段のお仕事の中でも、社員さんに話していることです。家は何度も立て直しできるものではない。だからこそ「一期一会」という言葉を大切に、仕事に慣れてはいけない。人は慣れてきたころに横着し、失敗をする。

自分に厳しくもお客様のことや、そして従業員のことを第一に考える大林さんのおおらかさは、湖北地域ならではのものなのかもしれない。


<アルファ工房>
住所:滋賀県長浜市木之本町木之本1776
電話番号:0749-82-2862
メールアドレス:info@alfa-kobo.com
HP:http://www.alfa-kobo.com
営業時間:8:00〜17:00
定休日:日曜日、祝祭日

※この記事は湖北地域の求人情報事業「SAKIIKA(サキイカ)」の関連記事です。

【求人情報】
コホクニ、では『アルファ工房』で大林さんと一緒に働いて、このサキのイカ(旧伊香郡)の未来を明るくしたい人材を募集しています。ここで働きたい!と思った方は、下記連絡先までご連絡ください。

<仕事内容>
・現場管理、技術職、大工、大工見習い
一般建築(公共・民間)、住宅(リフォーム・新築・古民家再生)、一般土木を行います。
<勤務地>
木之本町
<雇用形態>
正社員
<加入保険等>
雇用保険・労災保険・厚生年金・健康保険・退職金
<給料>
月給制
<勤務時間>
8:00〜17:00(休憩90分)
<休日>
日曜日、祝祭日、第2第4その他当社が定める日(年間100日)
<応募方法>
電話またはメールにてお問い合わせください。ご相談の上、面接日時等を決めさせていただきます。
<応募連絡先>
0749-82-2862(小川)

 

書き人:ゆきちゃん

details

大林 利男(おおばやし としお)
No.
18
Name
大林 利男(おおばやし としお)
Region
木之本町
Occupation
建設業
Hobby
ドライブ、ゴルフ