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西川 康生(にしかわ やすお)

進む道を選ぶことは、進まない道を決めること。

分かれ道を前に、進まない道を捨てきれない。別の道を歩んだらどうなるだろう、と「もし」を考えてしまう。

時には痛みや苦しみを伴う「選ぶ」こと。自分の選択であっても、世間体が気になったり誰かの顔が頭に思い浮かんだり。年齢を重ねて守りたいものが増えるほど、選択に難しさを感じる瞬間もあるかもしれません。

「社長に声をかけられてから10年、この会社に来るタイミングをずっと考えていました」

20年以上勤務した税理士事務所から、製造業へ。株式会社エノモトの総務経理部・西川康生さんが転職を決断したのは、すでにお子さんがいらした45歳のときです。

西川さんがエノモトに飛び込んだ理由。それはこの会社が持ち続けている貪欲な「挑戦」への姿勢、そして西川さんに声をかけた張本人である社長にありました。

1967年の創業以来、農業機械に使う油圧シリンダーを中心に機械器具を製造してきたエノモト。本社や工場の拡大のみならず、2013年には中国に関連会社を設立し、2018年まで9年連続の増収を達成しています。

西川さんが入社を決めたのは、2011年のこと。新社屋・新工場の着工と中国進出に向けた準備が始まった頃でした。

「総務をやってほしいと社長から言われて入社したけれど、僕は経理の経験しかなかった。こういう仕事もあるんやなあ、と初めて知ることの連続でした」

税理士事務所で会社の外から担ってきた経理と、社内に飛び込んで担当することになった転職先での総務。これまでとは仕事内容もスピードも大きく変化すると知りながら、会社の成長についていくために西川さんは総務を一手に引き受けたのです。

西川さんがエノモトの社長に声をかけられてから、転職を決断するまでに要した時間は10年。家業である税理士事務所から離れるために、そして西川さん自身が決意を固めるために必要な時間だったと言います。

「父とエノモトの会長が長い付き合いで、子どもの結婚に際して互いに仲人を務めるほど家族ぐるみの関わりがあったんです。エノモトの経理も父の事務所が担当していて、そんなご縁から社長に『一緒にやらないか』と声をかけてもらって。

でも、誘われてすぐに転職できる状態じゃなかった。父としては税理士事務所に僕を残したい気持ちがあったのかもしれません。父と口をきかなくなった時期もありましたよ。僕自身も『本当にこの決断をすべきなのか』と悩みましたね。

最終的には父の事務所を継ぐことになっていた兄の息子も事務所の仕事に加わったので、もう大丈夫だろうと判断して8年前にエノモトに来ました。10年間準備して、ようやく待っていたタイミングが訪れたんです」

その決断を支えた一番の決め手は、挑戦し続けるエノモトの姿勢でした。

「僕ももっと挑戦したい。そういう気持ちが確かにありました。これから成長していく会社の支えになって、その先も一緒にやっていきたいなと」

西川さんにとって大きな挑戦となった転職から8年。入社した理由はそのまま「今この会社で働く理由」になっていました。

「この会社のおもしろいところは、挑戦し続けていること。社長がチャレンジし続けはる人で、この程度でいいわってあきらめない。そういう背中を見ていると『一緒に挑戦していきたい』と思えるし、挑戦すること自体が楽しいですね」

西川さんが入社するきっかけとなった、社長の榎本吉浩さん。西川さんが今でも日々挑戦を続けられるのは、榎本さんの存在が大きいと言えます。

「社長は積極的に社員に声をかけにいきますね。年に2回ある賞与の明細を全員分、一人ずつ手渡ししていて。もう社員も85人いるんですけれどね、でも『賞与は僕が渡す』って言うんです。

一人でどんどん挑戦していかはるんじゃなくて、周りを巻き込むのが上手なんですよ。挑戦を続けながらも人を大切にする姿勢に、僕も社員のみんなもついていこうと思うんでしょうね」

社内の雰囲気が良い理由の一つに、西川さんを惹きつけた榎本さんの人柄もあるのでしょう。工場では大きな声の気持ち良い挨拶が飛び交い、現場で働く社員に対して西川さんは気さくに声をかけていました。

「製造業や機械に関する知識があるかどうかは、採用で重視していなくて。元気に挨拶できてコミュニケーションをとれるかを大切にしています。

研修は現場主導にしているのですが、風通しを良くしたいので僕も社員に声をかけているんです。仕事以外の話もしますよ。入社したばかりの社員でも話しかけてくれて、休み時間には僕が好きな野球の話で盛り上がることもありますね」生まれ育った長浜市を大学進学時に離れ、就職を機に戻ってきた西川さん。もともと長浜に戻ってこようと思っていなかったものの、以後30年以上長浜で暮らして仕事を続ける過程で、地元への思いが変化しました。

「滋賀って大阪とか京都とか、北から南側に仕事を求めに行く人が多いじゃないですか。北側に来る人はかなり少ない。でも学生さんから『地元だから滋賀で働きたい』と聞くこともあるし、僕も長浜に戻ったから気づけた地元の魅力もあります。

長浜にも働きやすい会社があって、仕事がある。うちに入社しなかったとしても、長浜に残りたいと思うなら残れる選択肢もあることを知ってもらえたらいいですね」

市内に在住する社員が全体の90%を占めるエノモトでは、会社で購入する昼食のお弁当を同じ高月町のお惣菜屋さん「手作り惣菜の店 えん」に依頼するなど、長浜でのつながりを大切にしています。

さらに最近では、採用における他社との連携をスタート。取引先を同じとすることが多く、採用においてもライバルだった製造業の7社が手を組んで、チーム「北びわ湖B’s」を結成しました。

「合同説明会でよく顔を合わせていた採用担当者が声をかけ合って、『一緒にやらないか』と動き始めたんです。もう人材を奪いあっている場合じゃない。長浜に拠点を置く会社が一緒に動いたほうが、注目度も高まるじゃないですか」

その一環として開催したイベントでは『長浜deはたらく』と銘打ち、模擬面接や交流会を通じて学生が採用担当者のリアルな声を聞ける場を企画。新卒採用に向けて開催したところ、15名程度が集まって満足度の高いイベントになりました。

「他社の採用担当と打ち合わせを重ねて企画を練る過程が、一番おもしろいですね。採用以外においても日常的に情報交換するようになりました。『こういうときはどうしている?』だとか『台風でこんなことになっちゃって』だとか」

もともとは長浜に戻るつもりはなかった西川さんが長浜に戻り、社長との出会いをきっかけに動き出したエノモトの物語。「長浜の雇用をもっとうみ出していきたい」という思いを胸に、西川さんの挑戦は続いていきます。


<株式会社エノモト>
住所:滋賀県長浜市高月町渡岸寺181番地
電話番号:0749-85-3030
HP:http://www.kk-enomoto.co.jp/
営業時間:8:00〜17:00
定休日:土曜日、日曜日
アクセス:JR高月駅から徒歩5分

※この記事は湖北地域の求人情報事業「SAKIIKA(サキイカ)」の関連記事です。

【求人情報】
コホクニ、では『株式会社エノモト』で西川さんと一緒に働いて、このサキのイカ(旧伊香郡)の未来を明るくしたい人材を募集しています。ここで働きたい!と思った方は、下記連絡先までご連絡ください。

<雇用形態>
正社員
<仕事内容>
・NC旋盤・マシニングセンター等の加工機を使用した部品の加工作業
・ロボット溶接や組立工程での生産業務
<勤務地>
長浜市高月町渡岸寺181番地
<加入保険等>
雇用保険・労災保険・健康保険・厚生保険・退職金完備
通勤手当・子ども手当・住宅手当・役職手当・時間外手当など
<給与>
月給180,400〜274,400円
※ 経験・能力等を考慮し、当社規定により判断致します。
<勤務時間>
8:00〜17:00(一部夜勤あり)
<応募方法>
採用ページ、または電話かメールよりお問い合わせください。
<応募連絡先>
採用ページ:http://www.kk-enomoto.co.jp/recruit/
エントリーフォーム:http://www.kk-enomoto.co.jp/inquiry/
TEL:0749-85-3030
Mail:y_nishikawa@kk-enomoto.co.jp

書き人:菊池百合子

details

西川 康生(にしかわ やすお)
No.
23
Name
西川 康生(にしかわ やすお)
Region
高月町
Occupation
製造業
Hobby
野球、ゴルフ