Persons
岸田麻友美(きしだまゆみ)
長浜市から車で15分程のところ、JR虎姫駅からのどかな道を歩いていくと、湖北町の小今にゲストハウス・KishidaHouse(キシダハウス)はある。
初めての人でも包み込んでくれるような雰囲気を持つキシダハウスの岸田麻友美さんは2017年、昔、家族が暮らしていたという家をリノベーションして、ゲストハウスを始めた。
思い出のある家をなくすのが嫌だった、と岸田さんは言う。
計画したらダメだとまずはノリで始めたのだそうだ。友達からアイデアをもらって、思ってたよりも費用はかかったけれど、考え始めるとリスクばっかりになってしまうから、勢いで始めてよかった。と、話してくれた。
それに、人や人と話すことが好きな自分の将来のためにもなるなあと今なら思う。
この仕事なら、年をとっても続けられるから。
最寄駅の「JR虎姫駅」は、コンビニも無い小さな駅だ。
最近は、便利な世の中になって来て、何でも何とかなるだろうと思っている人が多いと教えてくれた。
ちゃんと伝えておかないと、クレームになったりするというから困った話だ。
それは、日本人以外でも世界共通なのだというから、また面白い。
「近くには何もないから、駅にも何も無いから、必要なものは駅に着くまでに用意しておいてくださいね」
と、岸田さんは何も無いことをちゃんと伝える。
ゲストハウスを始めてちょうど1年。ゲストに気づかされることも多いのだという。
先日、シンガポールから来たゲストに川で魚が泳いでいることを驚かれた。湖北町に住んでいたら当たり前のことだけど、水がきれいで無ければ魚も泳がない。住んでいるだけでは気がつかない、地元の魅力に気がつかされた出来事だったと岸田さんは話してくれた。
空気が綺麗、空が綺麗、
ここに住んでいる、ここの空間を持っている、
結婚してここにきてよかった。
全ての選択がよかった。
そんなこと言えないでしょう?と、岸田さんは笑った。
キシダハウスの利用客は名古屋や大阪に向かう人が多いのだそう。
道中のちょうど中間地点にある滋賀で1泊しようと思ってくる旅行客が多い。
なんかちょっと琵琶湖が見たい、そういう感じで。
でも、少し立ち止まって滋賀を見ていると実はすごくいい場所だなと、気がつく人も多いようだ。
そういう、見たいものが特に決まっていない旅を『自分でプロデュースする旅』と岸田さんは呼んだ。
人はコミュニティの中で、いい言葉をもらえたり、物事のヒントをもらえる。
そして、自分のやっていることに自信が持てる。
大きなキッチンもあって便利だし、イベント・女子会何でもいいから宿泊だけじゃなくていろんな人に使って欲しい。
そういう人が集まれる場所にキシダハウスがなれたらいいと思う、と話してくれた。
ゲストハウスをしているけど、岸田さん自身は全然、旅行に行きたいと思わないのだという。昔はバリ島によく行っていたけど、今はここでいろんな人と交流しているから、別にどこかに行きたいとは思わない。結局、バリ島であたたかい人たちと触れ合いたかっただけなのかもしれないなぁと話してくれた。
最後に今後の目標を尋ねると、
「3年後に打ち上げがしたい!とりあえず3年頑張ったら、頑張ったね!ってやりたい」と教えてくれた。
開業してまだ1年だが、旅行サイトを見ているとどこも「キシダハウス」は高評価だ。
レビューの多くが岸田さんそのものの魅力について褒めていることが分かった。人との絶妙な距離感を岸田さんは知っている。
名物女将ならぬ『名物ホスト』の岸田さんがいるキシダハウスは、これからますます有名になりそうだ。
店舗情報
<KishidaHouse>
住所:滋賀県長浜市湖北町小今135番地
電話番号:090-5163-4379
HP:https://stayjapan.com/area/shiga/nagahama/pr/3426
営業時間:チェックイン 17:00 /チェックアウト11:00
アクセス:JR北陸本線 虎姫駅から徒歩12 分
書き人:辻 祥子